第3次フェミニストたちの代表的な本 | ||||||||||
Gender Outlaw: On Men, Women, and the Rest of Us (1994)
著者:Kate Bornstein 男性から女性に性転換した後、「無性」の境地に到達したというBornsteinのベストセラー。 ジェンダーを語る軸として、既存の「性役割」「アイデンティティ」の2つに加えて、演劇家らしく「パフォーマンスとしてのジェンダー」に注目した視点は見事。 トランスセクシュアル・トランスジェンダー・同性愛者・そしてフェミニストなど様々なグループの利害が相互に交錯する事を認めつつ、ジェンダーという社会現象の複雑さを正面から捉えてそれからの解放を目指す姿勢は、クィア理論とフェミニズムを合流させる試みと言えるかも知れません。 巻末には彼女による演劇「Hidden: A Gender」が掲載されています。 | ||||||||||
Men Doing Feminism (1998)
編者:Tom Digby フェミニズムの中での男性の役割や男性としてのフェミニズムとの関わりを、男たちが考えたアンソロジー。 フェミニズムの良き支援者となろうとするも、ちょっとした認識不足から失敗したり拒絶されたりを経験した男性は多いはず。 ジェンダー・システムへの違和感から、愛する女性の影響で、あるいは政治的な信条からフェミニズムを応援する男性たちが、そうした失敗の話も含めて「抑圧的ではない男」の在り方を語り合う本です。 開き直る訳ではなく、また女性に甘えるでもなく、真に対等なパートナーとしてフェミニズムに関わりたい男性必読の書だと思います。 | ||||||||||
Feminists Theorize the Political (1992)
編者:Judith Butler & Joan W. Scott 「第3次フェミニズムとはフェミニズムとポストモダニズムの合成か?」という問いをよく受けます。 はっきりと合意された定義がないため断定的には答えられないのですが、私は「第3次フェミニズムとポストモダンフェミニズムの両者は似た結論を持ち、重なり合う部分はあるが別である」と考えています。 その違いは、ポストモダンフェミニストは理論によってある一定の認識に到達するのに対して、第3次フェミニズムの世代にとっては自らが育った現実が既にポストモダン的になっており、特に理論を通らずとも自然とポストモダニズム的な主観・感覚を身に付けている点である、というのが私の持論ですが、これを説明するには膨大な文章が必要でしょう。 ここではポストモダンフェミニズムの入門として、ポストモダンフェミニズムの2大理論家、Judith ButlerとJoan Scottが編集したこのアンソロジーを紹介しておきます。 | ||||||||||
Next: Young American Writers on the New Generation (1994)
編者:Eric Liu このアンソロジーは特にフェミニズムの本ではないのですが、若いアメリカ人ライターによる斬新な社会・文化批評がたくさん掲載されているので紹介しておきます。 「Fire With Fire」の著者Naomi Wolfや「Feminist Fatale」のPaula Kamenなど、第3次ではおなじみのライターも登場しています。 | ||||||||||
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