(e)merging.
A Third 
Wave Feminist Page

第2次フェミニストたちとの対話

Letters of Intent (1999)

著者:Anna Bondoc & Meg Daly
New York: Free Press

若い世代のフェミニストから年上のフェミニストへの手紙と年上のフェミニストからの返信をセットで1章という形式の本。 合計21組42人の手紙が載せられていますが、その執筆陣たるやGloria Steinem、Amy Richards、Suzanne Pharr、Susan Faludi、Angela Davis、Phyllis Chesler、Wilma Mankiller、Starhawkら錚々たるメンバー。 おざなりではなく、読んでいる側が後々の事が心配になるくらい本音でぶつかり合う内容で、編者の一人のMeg Daly(たまたまMacskaの個人的な友人)に聞いた話では、舞台裏では本がきっかけで人間関係に亀裂が走るのではないかとヒヤヒヤしていたとか。 第3次と第2次の衝突の現場をこの本ほど明快に示した本は他にないのに、何故か全然出版社が宣伝に熱心ではなく、第3次フェミニズムについて研究している学者でさえこの本を知っている人は少ないのが現状。 第3次を専門としているある学者の研究発表でこの本が引用されていたから、冗談で「よく見つけましたね」と言ったら、彼女も実はもう一人の編者・Anna Bondocの個人的な知り合いだったという笑えない話も。 自費出版じゃないのにね。

Letters of Intent

Letters to a Young Feminist (1998)

著者:Phyllis Chesler
New York: Four Walls Eight Windows

精神医学がいかに女性を「不完全な人間(男性)」として扱っているかを追及した「Women and Madness」(1972)を始め多数の著作で第2次フェミニズムに大きな影響を与えた心理学者、Phyllis Cheslerによる若い男女への呼びかけ。 「手紙」という形態を取っているのは偶然ではなく、第2次フェミニズムが失敗した事やおかした過ちも素直に認めつつ、彼女自身の個人的な経験やアドバイスを語る真摯な姿勢が、この本を第3次的な手法で第2次フェミニズムを語る貴重な好著にしています。 巻末には時代ごとに分けられた主なフェミニズムの文献のリストが載せられており、フェミニズムへの入門書としても使えます。 最終章には彼女が自分の息子にあてた手紙があり、フェミニズムに興味のあるすべての男性にお勧めできます。

Letters to a Young Feminist

Hypatia: Special Issue on Third Wave Feminism (1997)

編者:Jacquelyn N. Zita
Bloomington, IN: Indiana University Press

「Hypatia」は一般書籍ではなく、フェミニズムについての哲学系学術誌。 1997年夏号に特集として1冊まるごと第3次フェミニズムに関する論文の数々を掲載しました。 第3次フェミニストによる論文だけでなく第2次の学者による第3次の分析などが載っているので、理論面に興味のある方にはお勧めです。 特に、「To Be Real」と「Listen Up」を比較した論文は、両アンソロジーを読む上で参考になります。 部数が少ない学術誌なので入手は困難ですが、アメリカの大学図書館でなら比較的簡単に見つかるかも。 「第3次フェミニズム」がアカデミックなフェミニズムから今どのように見られているかよく分かります。 編者のJacquelyn Zita教授(ミネソタ大学)は知らない人じゃないんですけど、カッコつける割に第3波の何が何だか分かっていないという問題があったりします(笑)

Generations: Academic Feminists in Dialogue (1997)

編者:E. Ann Kaplan & Devoney Looser
University of Minnesota Press

タイトルの通り、フェミニズム学界内での世代間対話を集めたアンソロジー。 早い話が新旧の理論家が世間一般から乖離した難解な議論を闘わせているだけだったりするのですが、「フェミニズムは終焉した」とまで言い切るポストフェミニズムが生まれた背景を説明したイギリスのポストモダン・フェミニスト、Diane Elamの論文「Sisters are Doing it to Themselves」など、フェミニズム理論の最前線を飛び交う鋭い議論が読めるのは、理論が好きな人には御馳走かも。

Generations

Contemporary Feminist Thought (1984)

著者:Hester Eisenstein
New York: G. K. Hall

自身もフェミニズムの理論家であるEisensteinが、第2次フェミニズムの理論的発展について分かりやすくまとめた好著。 第3次フェミニズムを読む前に第2次について知っておきたい方のために一応紹介しておきます。

Eisensteinは「性差」を根源的と看做すかどうかを第2次フェミニズムの最大の論点と考え、女性の抑圧の根源を男女の性差に求めた初期の第2次フェミニズムから、次第に女性性の賞賛に傾いた中期・後期を理論面から追跡します。 その上で彼女は第2次後期が新たな根源主義として政治性を失った事を批判するのですが、それは理論が先走った言葉の上だけの批判ではなく、過激すぎた理論にも歴史的意義を認めた上での真摯な主張です。 第2次フェミニズム理論史をうまくまとめた本は他にもいくつかありますが、分かりやすさと優れた歴史感覚からこの本をお勧めします。

Contemporary Feminist Thought

#1 代表的な第3次フェミニストたちの本
#2 第3次フェミニズム的な雑誌など
#3 第2次フェミニストたちとの対話
#4 第3次フェミニズムと同時代の動き

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